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住職法話12月「寒苦鳥」

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閑古鳥(かんこどり)が鳴く」の閑古鳥がカッコウの別名だと知っておられたでしょうか。
閑古鳥は想像上の鳥くらいに思っていた方もおられるでしょう。
カッコウは、人里離れた寂しい場所で鳴く習性があるところから、「カッコウが鳴いている場所は、寂しい場所」となり、「閑古鳥が鳴く」の慣用句ができたそうです。
さて、「閑古鳥」に似た名前で、「寒苦鳥 かんくどり(または、かんくちょう)」という名前の鳥がいます。
こちらは想像上の鳥です。
インドの昔話です。
あるところに雪山があり、そこには一匹の鳥がいました。
鳥は遊ぶのが大好きでした。
日中は雪山でもそこそこに日が照り暖かいので鳥は一日中、他の鳥や虫たちと遊びまわっていました。
ところが夜になると雪山は一気に冷え込みます。
「寒いよぉ、寒いよぉ。」
巣のない鳥は雪の中で凍えます。
そして、そんな中で鳥は決心するのです。
「よし、朝日が昇ったら、頑張って木々を集めて温かい巣を作ろう!!」
夜があけました。
朝日が昇り、あたりの気温が上昇してきました。
それにともない他の鳥たちや、虫たちも起き出してきます。
そして、それらの動物たちや虫たちは輪になって遊びはじめます。
その輪の中にはあの鳥の姿が…。
昨夜の決心はなんとやら。
なんと鳥は巣をつくることを忘れて遊びふけるのでした。
そしてまた一日が終わり、雪山の夜が来ます。
「寒いよぉ、寒いよぉ。」
鳥は吹きざらしの中で、一晩中震えるのでした。
そしてまた巣を作ろうと決心するのですが、朝になるとやっぱり遊びます。
結局この鳥はこうして一生をむなしく過ごしました。
寒苦に泣いて決心し、寒苦を忘れ遊ぶ。これを繰り返し続けるこの鳥は「雪山の寒苦鳥」と呼ばれるようになりました。
人間でもやっぱりこういう所ありますよね、人間の怠惰心。
誰が言ったか、「明日やろうは、馬鹿やろう」とは上手い言い方であります。
大切なのは、日々の一歩一歩の積み重ねであります。

お念仏も、日々何編念仏を称えるという日課を決めて、その日その日を大切にして頂きたいものです。